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小笠原諸島について

1997年1月1日公開 / 1998年1月1日更新【三訂版】

 1996年12月15日から12月27日にかけて延べ12泊13日(船中2泊を含む)の日程で小笠原へ旅行してきました。なぜ小笠原なのか。よくわかりません。強いて言うなら東京にいるうちに行っておいたほうがいいかな、程度の気持ちでした。
 日本地図で本州からぽっつり離れた小笠原諸島。そこには日本らしからぬすごいものがあるのではないか、そのような期待から昔から小笠原諸島への関心はありました。しかしその実際の旅が決まったのは96年の夏を過ぎてからだったと思います。学生で時間のあるうちに隔絶の南の島を訪れてみようと思いました。そして気がついたら竹芝桟橋で切符を買って、小笠原YHを予約して、南へ向かう船に乗っていたわけです。
 ともあれここではとりあえず小笠原がどのような所か、その概略を簡単にご紹介したいと思います。
この写真はイメージであり、実際の写真ではありません

★小笠原諸島の位置
 小笠原諸島は聟島列島、父島列島、母島列島、火山列島(硫黄列島)、それに孤島としての西ノ島、沖の鳥島、南鳥島から構成され、全部で30ほどの島があり、南北750キロ、東西1,600キロにおよぶ。。このうち人が住んでいるのは父島・母島の2島のみ(戦前は硫黄島や聟島、嫁島にも人が住んでいた)で、小笠原の政治・経済の中心地である父島は東京の南約1.000キロ、北緯27度、東経142度に位置する(左の地図では南北は縮めてあるが、経位置はほぼ同じである)。父島−母島間は約50キロである。すべて東京都に属する。

★小笠原諸島の交通
 東京(竹芝)−父島(二見)間に小笠原海運の「おがさわら丸」が就航。概ね月5回程度の運航で所要時間は約29時間。父島−母島間には伊豆諸島開発の「ははじま丸」が就航し、所要約2時間。「おがさわら丸」の父島入出港に接続する便が各1便、その他に1便。その他の一般交通機関(空路など)はなし。
 尚、「おがさわら丸」は97年3月1日竹芝桟橋発より新造船が就航し、所要時間が25時間30分に短縮される。
(「おがさわら丸」時刻)
       97.2まで   97.3から
東京(竹芝)  10:00発   10:00発
父島(二見)翌日14:30着 翌日11:30着
父島(二見)  12:00発   14:00発
東京(竹芝)翌日17:00着 翌日15:30着
 その他には不定期の貨物船が月に2回程度就航するほか、シーズンには観光船の入船もある。その他、要人の来訪や急病人が出た際にはヘリコプター(父島・母島)や海上自衛隊の飛行艇(父島)が発着する。
 以上が島への連絡交通機関のすべてである。尚、気象庁職員が常駐する沖の鳥島や自衛隊の駐留する硫黄島へは別途所轄庁によるほか、船のチャーターが考えられる。

★島の生活
 「おがさわら丸」の発着が基準となっている。店舗の定休日は入出港が基準。郵便局の集荷は平日と出港日、配達は入港日の夕方から。「おがさわら丸」が郵便物を運ぶ関係から本土向け郵便は概ね週1回程度。
 そのほか、電話やテレビは衛星波を利用している。電話は衛星波を使うが東京23区内(03)地域との通話は市内電話扱い。テレビに関しては衛星の活用により95年より地上波も観られるようになった。ただしテレビは地上派と衛星で全く同じ番組をやってる場合、地上波の方が0.3秒くらい遅く届く現象が生じる。電話も実はほんの少しずれている。
 島の人の生活に関しては公共事業を含む公機関と観光に従事する人が多いのが特徴といえる。

★観光のポイント
 海開きが1月1日。つまり年中海水浴ができる。岩場や珊瑚礁が発達し、シュノーケリングやダイビングができると尚楽しい。特に珊瑚礁が発達し魚も豊富なところは海中公園に指定されている。
 1年を通じて気温差が少なく常夏の小笠原では南国気分を満喫できる。中でもおすすめは父島ジョンビーチ、南島扇池、母島列島の平島など。南島や平島へはグラスボートなどを利用する。
 釣りも年中可能。そこらじゅうが好ポイントであり、釣り好きにはたまらない。
 その他、イルカが年中観られ、ドルフィンスイムも楽しめる。また12月から5月頃にかけてはザトウクジラが出産・子育てのため海域にあらわれ、ホエールウォッチングが楽しめる。
 小笠原諸島は一度も大陸と陸続きになったことがなく、固有の動植物が多く世界的にも貴重なものとされている。島の植物種の4割は固有種とされ、兄島や父島の初寝浦地区のそれが特徴的とされる。動物ではオオヤドカリ、鳥ではメグロ(母島列島のみに生息)など、天然記念物に指定されているものもある。
 また父島や兄島、聟島などには野生のヤギが生息する。これは黒船でペリーが連れてきたとも、戦前飼っていたヤギが戦時中の住民の本土強制疎開、その後の米国占領下で野生化したとも言われている。

★いつがオススメ?
 感じ方は人によって違うでしょうが、繁忙期が好きな人はあまりいないでしょう。
 小笠原の繁忙期は年末年始と夏休み。まとまった休みがないと行きにくいことと帰省ラッシュが重なるからでしょう。船もさながら奴隷船並の混雑と聞いています。年末年始に至っては3ヶ月前の発売日に予約が埋まるほど。あと春休みも学生で若干の賑わいをみせます。
 でも年末年始は海に入るにはちょっぴり冷たい(入れないことはないけど)。夏は本州でも暑いですから、それをもっと暑い小笠原にわざわざ行く効果がどの程度あるのかという疑問があります。またきれいな海へ行くのに山道を歩く場合があり、真夏にそんなことができるかという問題もあります(冬に半袖でもけっこう暑かったですから)。
 個人的にはこれらの繁忙期を少し外した時期をおすすめします。そのほうが海で遊ぶことを考えても山に行くことを考えてもいいと思います。
 また同じ行くのでも日程の組み方で違いが出てきます。
 右図を見て下さい。小笠原がどういう周期で動くか、おがさわら丸の発着をもとにした図です。おがさわら丸で入港し、2〜3日後の出航で帰る人が多いですから入港〜出航までの期間は割合人が多いです。しかし出航〜次の入港までの間の3〜4日は人が少なく、落ち着いた島の雰囲気を満喫できます。この間には母島へ行き来する人以外に人の出入りはありません(観光船が入港すれば話は別ですが)。
 出航〜次の入港までの間の3〜4日に滞在すると、都合10日ほど島に滞在することになります。そのうちすることが何もなくなってくるのでは、と思われる方もおられるでしょうが、それを味わうのもまた一興。母島に行くという手もあります。

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