1997年1月10日公開

 小笠原にはヤギがいます。特に父島列島の父島や兄島、聟島列島の媒島には多いです。ヤギを飼っている人は世に多々いますが、ここのヤギの特徴は「野生」であることです。この野生のヤギですが、ペリーが黒船で連れてきたとか、戦前飼っていたヤギが敗戦前の島民の本土への強制疎開の際に置いていったのが野生化したとかいろいろいわれています。父島の道路標識にはヤギをもじった「動物注意」の標識があります(また特別天然記念物のオカヤドカリをもじったものもあります)。実際に道を歩いている光景を目にすることは意外とありませんが、山肌を注意してみるとわりと普通に見ることができます。時間帯としては朝夕が見やすいようです。
 父島では概ね全島にいますが、中でも夜明山から傘山あたりに多いといわれます。でも私の実感からは長崎のあたりで数多く目にした記憶があります。私が父島で観察できた場所としては、長崎、夜明山、南袋沢のあたりでしょうか。写真は長崎トンネル出口あたりで見られたものです。
 兄島は無人島です。兄島でも概ね全島にいるようです。長崎展望台から兄島を双眼鏡で眺めるとうようよいます。船で接岸してもその周辺にわりに普通に見られます(写真)。
 聟島列島へは父島から70キロ北ということもあり、なかなか見づらいものがありますが、媒島などはヤギの天下となっていると言われています。
 しかしこのヤギ、島では迷惑者扱い。父島では農作物への被害が報告されるほか、他の島にも共通して言えることは外来の動物が繁殖しすぎたために固有の植物への食害が生じていることです。小笠原の生態系自体が偶然的な要素でできていることから外来種に弱いというのがここでも垣間見えます。父島では年に2回程度「野ヤギの一斉駆除」と称する駆除が行われます。私の訪問中にも1回ありました。しかし効果のほどはあまりないよう。ヤギは昼間は茂みに隠れていますし、駆除は役場の仕事ですから16時には終わります。それからのこのこ出てきて草をかいつばむヤギは駆除直後でも数多く見られます。

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