旅の想い出・北海道編
「試される大地」に寄せて

「試される大地」って?
 「試される大地」とは何でしょうか?
 これは「北海道イメージアップ・キャンペーン」という北海道庁が展開しているキャンペーンで使用されているキャッチフレーズです。あわせて北海道ロゴもつくられました(右)。このキャッチフレーズ及びロゴは届け出により利用できるようになっており、YANAPY's HomePage も届け出済です。利用資格はキャンペーンの趣旨に賛同することであり、賛同する企業・商品等に利用されています。みなさんのまわりの商品にもついていませんか? YANAPY's HomePage をはじめ個人ホームページでも若干の利用例があるようです。北海道の大地を愛し、大地の恵みを利用していくことによって、北海道のイメージを高めていこうというものです。

キャンペーンの真実
 と、キャンペーンの趣旨自体は北海道を愛することであり大変結構なのですが、このキャンペーン、道民にはあんまり評判がよくありません。なぜなのでしょうか。
 「道庁にとやかくいわれる筋合いはない」「北海道のイメージを悪くしている張本人は道庁だ」「試されているのは堀達也くん、君なんだよ」(北海道知事/このページが更新さぼってる間に変わってるかもしれません・・・)等々様々な批判があります。
 事実、キャンペーンのあとに続く施策がお世辞にもうまくありません。どこででもやっているような観光キャンペーンとか、旧態依然して何の進歩もないキャンペーンが続き、一部の業者の利権を肥やしているとしか思えないような施策がぞろぞろ出てきます。心ある道職員の中にも施策に携わらせられながらこんなの違う!と思っている人がいるようです。
 挙げ句の果てには産廃やら核廃棄物やらの受け入れを続々と決め、イメージなど自ら汚しているばかりか、特定の政党と結びついた利権企業を肥やし道財政を破綻に向かわせています。

北海道の実力
 北海道の大地には実力があります。豊かな自然・風景、自然の恵みである豊かな食糧の数々、厳しい自然を開拓してきた歴史、そこから来る人々の多様さ・大らかさ・・・。これらをうまく活かしていけば北海道は活性化できます。
 自然・風景は世界的には特段大したこともありませんが、国内では特筆すべきものです。この魅力をうまく活かせば活性化できますし、最近は海外旅行の方が安価という奇妙な現象が生じてはいるもののいまだ観光地としては他県と比べれば群を抜く人気を誇っています。最近はアジアなどからの観光客も数多く入ってきます。アジアの人にしてみれば別に無理して北海道に来なくてもいいわけです。戦争の歴史を背負った日本に好きこのんで行く理由もないですし、世界に魅力的な観光地は他にいくらでもあります。その中で北海道がブームになるのはやはり北海道にそれだけの実力があるからです。
 食糧面では北海道は日本の食糧基地としての役割を果たしています。政府の寝ぼけた無策で食糧自給率がどんどん下がっていく中、北海道だけはカロリーベースで現人口の2倍の人口を養えると言われています。

魅力は十分活かされているか?
 にもかかわらずその魅力は十分に活かされているとは言えません。
 北海道観光をあらわす言葉として「自然一流、食事二流、サービス三流」という言葉があります。旧態依然の観光業が幅を利かせているのが現実の姿です。旧態依然の温泉街などはおちぶれる一方です。別にそんなところに行くなら北海道にわざわざ高い航空賃かけて来る理由もないわけでお客様は正直です。一部の宿泊施設や土産物店の中には本州では考えられないような程度の低い接客をするところも見られます。これは観光面に限らず生活面でもみられます。おかげで北海道のサービス業は程度が低いとあちこちで叩かれます。私にいわせれば大らかさのなれの果てで決して悪意があるわけではないと思うのですが。
 食糧面もそうです。雪印の集団食中毒もありました。考えられない衛生管理がされていたわけで、これに至っては悪意じゃないあたりがたちが悪いわけですが。それとか観光面とかぶるかもしれませんが、市場で買ったカニを送ったら中身が入れ替わってたとか、山の中の旅館でいかにもあたりそうな怪しげな海の幸が出てきたとか、北海道に対する期待を裏切るような例も聞かれます。
 反面、北海道の魅力を活かそうとしている人たちも数多くいます。観光面ではユニークな施設などが次々とできていますし、食糧面でも直販で本当に良い北海道の食糧を出してみたりする取り組みも見られます。例を挙げればきりないですが、そういう人たちにしてみれば今さら「試される・・・」筋合いはないわけです。しかし全体に占める規模はあまりに小さいです。北海道の魅力を引き出す余地はまだまだあります。

自然はいいんだけれど・・・
 北海道は豊かな自然をもっています。多くの観光客の目当てはそれです。なぜならカニだけ食べたければ東京の高級料亭行けばいいんですし、土産が欲しければ空港でUターンすりゃいいんです。今どき北海道みやげの多くは東京で買えます。
 北海道ではそういう観光客の期待を受け入れる体勢が必要なのですが、必ずしもその体勢が良いとは思えません。イベントを何かやればいいんだとばかりに風景をぶち壊しているケースは有名観光地ほど少なからず見受けられます。観光客の期待を裏切るようなそうした体勢が観光地を没落させ、それだけなら勝手ですが北海道全体の価値を下げることにつながるのです。
 北海道の自然の持つ実力を生かした町づくり・活性化をしてもらいたいものですね。

 右は阿寒湖の例。せっかく全面結氷した湖も数々のテントや車・スノーモービルのコースで覆われ風景は台無し。
 下は然別湖の例。イベントを設けながらも歩ける範囲に自然の風景もしっかり残している。

観光客の意識
 魅力が活かされない背景のひとつに観光客の意識の問題があります(一部の人ですが)。
 北海道に来ればまずカニだ!と思うそこのあなた。カニは山の中じゃ獲れません。山に来てカニが食えると期待するのはやめてください。そういうあなたの期待が北海道をダメにします。カニにも旬や獲れる場所があります。それを外したところで食べてもうまいものにはありつけないと思います。それなら東京かどこかの高級料亭で食べた方がうまいんじゃないでしょうか。
 それから車や観光バスから、そして観光スポットでごみをまき散らすそこのあなた。あなたは北海道にゴミを捨てに来たのですか。きれいな風景を見に来たのならそれを汚して帰るのはやめてください。北海道にゴミを捨てに来るのは自民党とそれにぶらさがる利権業者だけでまっぴらごめんです。
 「北海道」と一言で言ってもその範囲は大変に広いです。それぞれの地域が多様な個性をもっています。せっかく北海道に来るのなら、あなたの目的にあった時期・場所を選んでみませんか。北海道はあなたの目的をかなえる場所をもっています。またそんなあなたの取り組みが北海道から不良業者を駆逐していきます。

公共事業王国
 現在、北海道の主要産業は観光業じゃありません。公共事業です。これまでは北海道開発局もあり、予算的にも優遇されてきました。しかし借金大魔王と化した国、その中で公共事業見直しの機運が高まる中、いつまでも公共事業に依存するわけにはいきません。特定の利権政党と結びついた土建屋もろとも心中する羽目になります。
 しかしそれは別に北海道に限ったことではありません。今や日本の地方は公共事業なしでは成り立たないのが事実。例えば大都市圏である関西圏でさえ大阪湾を埋める気かと思うほどの橋や空港の建設計画が目白押し。地方に行けばどうしてこんなところに必要なのかと思うような高速道路や一般道路、裏道にまで普及したスプリンクラーなどなど枚挙に暇ありません。
 その中で百年余りの歴史しかない北海道では基幹インフラが不足しているのは確かに事実です。しかし公共事業依存体質が破綻しつつある中ではインフラ整備の余地があるうちに体質脱却を図らなければなりません。逆に全国的な体質の中で北海道が体質脱却を図れればそれこそ勲章ものです。

試される筋合いはないというあなたに
 道主導のキャンペーンが旧態依然としたものが多いのは事実です。このキャンペーンも結局は物販だけに利用しようとする旧態依然した動きも事実あります。
 ただしそれをけなしていればいいとも思いません。道がキャンペーンを張る張らないに関係なく北海道を活性化するためにイメージを良くする必要はあります。北海道のイメージが良くなることは道産子にとっても喜びに違いないはずです。
 「試される・・・」筋合いはないと思っているそこのあなた、北海道を良くするために何かしていますか?(なんて言えるほどたいしたことは私もしてませんが) 道民にとってまさにそこが「試され」ているのではないでしょうか。


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